英語プレゼンコーチ竹田綾夏ブログ

英語学習、スピーチ、プレゼン、レシテーション(朗唱)メイン。講師のつぶやき

パブリックスピーチ世界チャンピオンDarren Tay氏講演

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11月2日から4日まで、スピーチクラブ・トーストマスターズの全国大会が日経ホールで開催されました。

今回取り上げるのは、2016年度国際スピーチコンテスト世界チャンピオンであり、シンガポール出身の若き弁護士でパブリックスピーカーのDarren Tayさん(以下ダレンさん)。

基調講演、ユーモアに富んだワークショップで大会を大いに盛り上げてくださいました。

今回私の所属する中野トーストマスターズクラブがアテンド役となり、文字通り密着取材(?)をさせていただきました。

彼のスピーチの様子や素顔についてまとめました。

 

 

天性のスピーカーなんていない

人のパフォーマンスを決めるのは生まれ(nature)か、育ち(nurture)か。

スピーチ以外でもよく議論になりますが、彼の答えは

 

「天性のスピーカーなんていない」

 

初日のワークショップでは、自身の子供のころからの体験談を披露してくださいました。

家庭は裕福ではなく、内気だったダレン少年。

学校の図書館で、ハリー・ポッターの本の紹介をするように先生からすすめられたところが、彼がスピーチをする原点でした。

  • 学校中のトイレに写真入りの発表会用ポスターが貼られ、恥ずかしい思いをしたけれど、思い切って人前で話したことが自信になった。
  • 発表会後にディベートの先生に見初められ、猛特訓を積んだ。
  • トーストマスターズの世界大会に何度も出場し、2016年にようやく優勝。

天性のみでは達成できなかったことばかりです。

(もちろん天性として素晴らしいものをお持ちですが) 

 

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イケメンですが、会場で公開した昔のオールバックの写真は…怪しい少年。

写真掲載許可はいただいておりますが、その写真だけは載せないで、とのこと。

 

 

ちなみに、彼の著書"Express to Impress"は日本のアマゾンでは扱いがありません。

会場で本を購入、サインを頂きました。

 

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Darren Tay "Express to Impress"

普段はどんな方?

よく聞かれる質問は、

「独身ですか?」

「はい、28歳独身です」

若い!

(※講演冒頭で公言)

 

毎週世界各地を飛び回る生活で、来日前はバーレーン、11月は韓国でも講演予定。

マイルも山ほど貯まっていることでしょう。

 

講演中も、終了後も、笑みを絶やさず非常に親切。

頭の回転が早く、おしゃべり上手ですが、お休みの日はインドア派。

 

何よりも、誰もが認めるナイスガイ。

 

世界チャンピオンのダナンジャヤ・ヘティアラッチ氏も

良い人間であることが、スピーチの上達には必要だ

という名言を残しています。

 

人格は表に出るものですね。

政治家や経営者も、立派な方ほど腰が低いです。

自分も見習いたいと思います。

 

聞き手のファンになる

話を講演に戻します。 

スピーチ上達の秘訣は?

 簡単な答えはありません。

しかし、一番印象に残った言葉はこちら。

「聞き手の一番のファンになること」

 

自分に意識を集中しない。

スピーチを聞いてくれているのは聴衆だから。

ワークショップ中も常に聴衆を巻き込み、軽妙なやりとりを欠かさなかったダレンさん。

天性の頭の良さもありますが、聞き手を常に意識する、という基本を徹底しているからこそできる技です。

 

人前で緊張しないコツは?

Is it possible to make the butterflies in my stomach fly away?

「人前で緊張しないコツは?」

こちらも頻繁に聞かれる質問です。

ダレンさんでも緊張はするそうです。

しかし、こう答えました。

"It is possble to make those butterflies fly in formation."

 「緊張をコントロールすることはできる」

 

緊張をお腹の中に住む蝶に例えています。

うまくコントロールすればよいのです。

(これが私のような常人には結構大変なのですが…)

オバマ前大統領ですら緊張するとのこと。

小手先のテクニックではなく、やはり日々のスピーチの訓練、動じない心を作ることが大事ですね。

 

世界チャンピオンに勝つことはできるのか

これも気になる質問ですね。ダレンさんの答えは、

「勝てます」

 

ダレンさんは初めてのシンガポール人チャンピオンです。 

しかも20代。

実際、世界大会で2004年に二位に輝いた翌年、彼はクラブコンテストで負けてしまいました。

(※クラブコンテストは一次予選。

その後エリア、ディヴィジョン、ディストリクトコンテスト、世界大会セミファイナル、決勝であるファイナルと進みます)

 

コンテストで勝ったといっても、それは一回のスピーチ、その瞬間での出来事。

過去にどれだけ良いスピーチをしたかは関係ないと言います。

 

また、チャンピオンが優勝したスピーチ原稿を直した回数は、

約140回

多く直せば良いというものではありません。

しかし、20回や30回書き直した程度でチャンピオンには敵いません。

恐れ入りました。 

 

私も来年春のコンテストに出場する、と言ってみたところ、満面の笑顔で

"All the best!" (ベストを尽くして!)

と言っていただけました。

 

世界大会は遥か遠くですが、勇気がわきました。

「聞き手の一番のファンになる」という彼の言葉に嘘はありません。

 

詳しくは彼の著書で、と言いたいところですが、日本では手に入らないようです。

いずれ新刊が出ると思いますので、アマゾンが早く彼の本を取り扱うことを願います。

 

チャンピオンの好物は?

特に好き嫌いはなく、すしざんまいでお寿司を堪能。

ホタテやいか、まぐろ、特にアラ汁がお気に召した様子。

24時間オープンのお寿司屋さんに驚いていました。

 

ちなみにシンガポールでも日本食は人気。

同行していた弟のデレックさんが、数の子を食べて「?」という表情をしていたのが印象的でした。若いながらも素晴らしいアシスタントぶりでした。

よく考えてみると、数の子は食感を楽しむもので、特に味のするネタではないですよね…

 

まとめ

  • 天性ではなく努力が大事
  • 聞き手のファンになる
  • 緊張はコントロールできる
  • 世界チャンピオンに勝つことだってできる

スピーチ力アップに近道なしです。

そして彼のようなナイスガイだからこそ優勝したのだ、という感想を持ちました。

 

ダレンさん、そして弟のデレクさん、日本に来てくれてありがとう!

そして全国大会運営に関わったトーストマスターズの皆さんに感謝いたします。